秋のような風さえ吹き、夏の終わりを感じさせるこの頃です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
この夏にあった、いろいろな事をひとまず心の中にたたんでおいて、これから来る秋に向かって、準備をしていくことにしましょう。
受験生にとっては、あと半年です。今やっていることに自信を持って積み重ねていく時期です。ひとつひとつ、確実に自分のものにしていきましょう。
8月 | 5週目の休みはありません | |
9月 | 21日(月)・22日(火)・23日(水) | 祝・休日ですが、通常授業を行います |
29日(火)・30日(水) | 5週目で休みです |
今の十代後半、および二十代前半の世代を「ゆとり世代」と言っているようです。それは、「ゆとりのある世代」という意味ではなく、小学生・中学生の頃にいわゆる「ゆとり教育」を受けた世代ということです。その頃は、完全週休2日になったり「総合学習の時間」があったり、また以前に比べて学習内容を上の学年に先送りしたりなどして「軽く」なった、そういう時期を過ごした世代の若者達のことです。もともと「ゆとり教育」とは、受験勉強に振り回されない、自分に合った方法で「本当の」学力を育てていくということから出発したようですが、最近では、「低学力」の問題などで評判が悪く、次の教科書の改訂時には、ほぼもとの状態にもどるようです。
確かに個々の事例を見てみると、例えば中学の理科の一部の内容では、説明が中途半端なところで切られてしまって、話の本当の理由は高校で教えるという状態になってしまいました。それを元の中3に戻せばある程度完結した話として説明でき、納得しやすくなるという例もあります。さらに、最近の公立の中高一貫校が何校かでてくると、実質的に高校の学習内容を中学で教えるという状態が公立でも生まれてきます。もちろん勉強に興味を持ちその中味を深めていくことは重要であり、それを支える知的好奇心を育てていくことはもっと大切なことだと思います。そしてそういう機会が増えていくことは歓迎されるべきだと思っています。しかし再びもとの「ゆとりのない」教育に戻る可能性もあるでしょう。
ところで、今のこの流れから見ると、いわゆる「ゆとり世代」の若者たちは、簡単なことしか教えられなかった、ものを知らない、低学力の世代というレッテルを貼られてしまっているようです。高校生が時々「俺達はゆとり教育の学年だから」と、よく言っているのを耳にします。
「ゆとり教育」は、おそらくその理念を実現させる具体的なアイデア・イメージ、またその経験を蓄積していく体制が整備されず、さらに学校現場の忙しさや厳しさなどにより、成果があげられずに安易な対応へと流れていってしまったのではないかと思います。しかし、そこにあった、「本当の学力」と自分のペースにあった勉強というテーマは、それを経験した生徒たちに受け継がれているような気がします。
彼らは、「個性化」ということを実質的に身に付けた世代ではないかと思います。社会が、成績を中心としたものさしで差別化していく圧力をかけていく中で、そうではなく、「人はいろいろなのだから、その人に合った道を考えればいい」と彼らは思うようになってきていると思います。そのために、自分からすすんで情報を集め、自分に合った道は何かを考え出しているように見えます。確かに、ものを知らないかもしれませんし、自分から積極的に出て行く力は弱いかもしれませんが、自分なりのやり方を模索しながら、新しい時代を創っていくのではないでしょうか。私は彼らに期待しています。