あの大変な災害から一年がたちました。昨年のちょうどその時は、高校の入試が終わり合格発表を待っている春の気配も感じられる時期でした。あれから世界が一変しました。一年たってもほとんどのことが何も解決されず、先の道筋も見えないままです。でも、今年の受験生たちはこのような時期の中でもしっかりやってくれました。続々とうれしい知らせが続きました。
これからは、この一年の間で得たことを新しい世界に生かしていってほしいと思います。
新年度もどうぞよろしくお願いします。
4月 | 2日(月)〜 28日(土) | 通常授業を行います |
1日(日) | 新みやぎ模試を行います(※参照) | |
30日(月) | 5週目で休みです |
新中2生 新中3生 |
4月1日(日) | 9:00〜13:10 | 中野塾泉中央教室 |
なお、上記の日時で来られない生徒はご連絡ください。来られる日時に泉中央教室で模試を行います。
最近読んだ本からの抜粋です。児童文学作家で、「バッテリー」などで有名なあさのあつこさんの「国語の授業」(河出書房新社:『特別授業3.11君たちはどう生きるか』)の一部です。
これだけのことが起こってしまった国にみんなはこれから生きていかなければなりません。それは、これからも3.11をスルーして生きるわけにはいかないということ。そしてこれから先もまた何が起こるかわからないのです。だからこそ、自分を表現できる力というのをつけておこうと言っておきたいのです。
また国という大きな単位ではなくても、みんなはこれから生きていくうえで、いろいろなことに遭遇するでしょう。たとえば、受験に失敗する、あるいは失恋をする、とても好きだった犬や猫が死んでしまうなど、他人から見れば些細などうでもいいようなこと、でも自分にとっては大きな事件を今後経験していくわけです。
そういったさまざまな経験をくぐって生きていくためにも自分の言葉、自分の表現というのがきちんとできる人になってほしいと思います。自分の表現ができるようになることが軸にもなるし、根っこになる。
自分のことを100%わかる人なんて絶対にいなくて、自分のことを全部わかっていると思っている人は、よっぽどの自惚れ屋か天才、でしょう。でも何も自分を知ろうとしない人よりも、知ろうとする人のほうが私はおもしろいと思います。
そういう意味でも、書くことで自分の根っこを作ってほしい。根っこができている人間は流されない。ものすごい風が吹いたとしても、根っこがないとすぐに吹き飛ばされて、みんなと同じように一方向に行ってしまうけれども、根っこがあると踏みとどまることができるのです。
・・・・・
人間は思考するから人間なのであって、どんな些細なことでも、思考し続けることは偉いと思う。根がある人間はちゃんとそれができるように思います。
風に向かって踏みとどまることはしんどいけれど、そのしんどさが根っこになっていく。たくさんの根っこができるように頑張ってもらいたい。
人とどう結びついていくか、そのために自分をどう知っていくか、自分をどう表現するか。この三つの柱がある人は、人としての魅力に溢れていると思います。それは目先の受験のためよりも大切なこと。上質な人間になるため、上質な人生を送るためにぜひ三つの柱を持ってほしいと思います。
宮城県の公立高校の入試には、国語の最後の問題として必ず作文が出ます。今回も「案ずるより産むが易し」について、200字以内での作文が出題されました。短い文章でも書かせるとその生徒が普段何を考えているか(または考えていないか)がよくわかります。たとえ模試で点数をとっても、これはまずいなと思える作文を書く生徒がいます。まだ十代の子どもたちは成長過程のまっただなかですが、その中でも今自分をどこまで客観視できているかが重要です。そのためには日常的に文章を書いていることが大切だと思います。あらたまって文章を書くわけでなく「つぶやき」を走り書きしてみる程度でも大分違います。しかし、「作文でいい点をとるため」と、周りが押し付けるのはあまり感心しません。何か悩んでいるときに、「考えをまとめるためにノートに書いてみたら」程度で薦めてみたらどうでしょうか。あさのさんが言っているように、「上質な人生を送るために」ぜひ根っこのある、自分の考えを持てる大人になってほしいですね。